高校バスケのユニフォームサプライヤーの変遷2015年版

 明成高校(宮城)の3連覇で幕を閉じた男子のウインターカップ2015(以下WC)。中部大学第一(愛知)の初のベスト4進出や、県立能代工業(秋田)の8年ぶりの3位入賞、土浦日大(茨城)の22年ぶりの決勝進出など、新鋭校と伝統校の入り混じる今大会は大いに盛り上がりを見せた。

 そしてこのような全国大会はバスケットボール用品を扱うメーカーにとっても、今まで関係を築き、サポートを続けた高校がひのき舞台に立つという、感慨深い思いができるとともに、自社のブランドを内外にアピールできる格好の場でもある。今回、会場で販売されている大会公式パンフレットおよび、J SPORTS社の大会特設ホームページ内にあるウインターカップ2015写真館を参照のうえ、メーカー別にユニフォームがどのぐらい採用されていたのか集計した。戦績とともに、男子高校バスケ界で支持されているメーカーを見てみよう。なお掲載写真を見ての判断のため、一部判別がつかなかった高校(県立弘前実業、県立米子工業)や識別が誤っている場合もあるので、ご容赦いただきたい。結果は次の通りだ。

 メーカー別のシェアトップはMIZUNOだ。50チーム中、10チームがユニフォームを採用をしている。続いてはヤング商事のIN THE PAINT(以下、ITP)が8チーム、続いてBULL FIGHTが7チームと続いている。この3社で構成比の50%を占めており、すべて国内メーカーだ。また4位のON THE COURT(6チーム)、5位のASICS(5チーム)までを含めると国内メーカーで36社となり、構成比で72%まで及ぶ。高校スポーツでバスケットと双璧を成すサッカーでは、NIKEやadidas、PUMAといった海外メーカーを採用するチームが多い状況であるが、バスケは国内勢の存在感が非常に大きい印象だ。

 それでも、3チームずつ(シェア6%)で数字上では小さいが、海外メーカーのUNDER ARMOUR(以下、UA)とNIKEも存在感を示す。UAは近年、国内のシーンで台頭著しいメーカーであり、NIKEはWCを長年支えている唯一無二のメーカーである。詳細は後述するが、着用チームも全国の名門校や年々成長をしているチームが目立つ。

 続いて、メーカー別の着用校の一覧と戦績である。オレンジで色づけされたチームはベスト16、緑で色づけされたチームはベスト8、黄色で色づけされたチームはベスト4まで勝ち上がったチームである。

 ここでもやはりシェアトップであったMIZUNOがベスト4の2チームである明成高校と中部大学第一に採用されている。特に明成高校は、名将・佐藤久夫コーチのもと、インターハイ(以下IH)との2冠を今大会で決めた。また佐藤コーチが以前、仙台高校を率いていたときもユニフォームはMIZUNOであった。そして初出場の東北や、ベスト16に進出した県立山形南も同社を採用しており、東北地区に強みを持つメーカーであることが推測される。

 ITPは8チームが着用をしたが、ベスト16にたどり着いたのは初出場の日本学園(東京都)にとどまった。しかし激戦の東京都予選を勝ち上がったチームは、全国2勝をマーク。土浦日大には屈したが、堂々の結果を残した。

 BFは7チーム中、桜丘(愛知県)と八王子学園八王子(東京)の2チームがベスト8に進出。またアレセイア湘南(神奈川)もベスト16まで勝ち上がった。3チームともに外国人留学生が在籍。日本人選手と融合を図るバスケットを披露した。特に八王子学園八王子は明成高校を相手に19点差を挽回するなど、王者を最後まで追い詰めた。

 OTCは6チームのうち、近畿大学付属(大阪)が初のベスト8入りを決めた。特に3回戦では洛南(京都)を70-60で撃破。近畿勢対決を制して、歴史に名を刻んだ。しかしながら、これは同メーカー対決だったこともあり、担当者としては複雑な気持ちになったのではないだろうか。

 一方で着用チームが少ないが、熱戦を繰り広げたり、全国上位に進出したりするケースもある。UAの着用チームである正智深谷は3回戦で大会4位となる中部大学第一と対戦。第3Q途中まで競った展開となるも終盤に力つきた。また延岡学園は2011年、2012年のWC決勝戦の再現となった尽誠学園(香川県)と対戦。1回戦屈指の好カードを2点差で制した。

 NIKEのサポートチームである県立能代工業は8年ぶりに全国3位入賞を果たした。NIKE対決となった初戦の市立船橋高校(千葉)との試合に勝利すると、これまで苦手としていた外国人留学生のいる北陸、帝京長岡(新潟)を撃破。決勝進出こそ逃したが、3位決定戦ではアップテンポな展開で畳みかけて中部大学第一を一蹴。名門復活を印象づけた。しかしながら、日本の高校チームで唯一であろうJump Manのユニフォームを身にまとう福岡大学付属大濠高校はIHに続き初戦敗退の苦渋を飲んだ。

 Hoop Starは土浦日大と北陸高校の2校で採用。特に土浦日大は明成高校に敗れはしたが、1993年以来となる全国2位に輝いた。ガードの山崎を中心に松脇と杉本の長距離砲、平岩と軍司の190cmを超える2枚のインサイド陣で、国体の優勝がフロッグでなかったことを証明すべく王者を最後まで追い込んだ。

 VLは帝京長岡のみの着用だが、特徴的なデザインと半袖のシルエットが印象的なユニフォームだ。県立能代工業に敗れてIHに続く4強とはならなかったが、203cmの留学生タヒロウはまだ2年生。来年度、さらに大きくなってコートに戻ってきてくれるのではないだろうか。

 ASICS、CONVERSE、TFの着用チームはいずれもベスト16には届かなった。チーム同様に各メーカーも悔しかったに違いない。また今大会には王道のChampionやNBAを背景に持つadidasといったメーカーの着用チームは見受けられなかった。

 さて冬の祭典が終わり、各チームはいよいよ新チームに移行する。そして各メーカーも春の新入部員入団シーズンに向けて、チームへのフォローや新規提案の刈り取りを本格化させる。夏の主役を目指すべく、メーカー各社は冬に蒔いた種をこれからどんどん育てて、夏へのエネルギーにできるかどうか。コート外での攻防戦はこれからだ。