3×3世界ランキングから見えることvol.1

 新型コロナウイルスの影響により、3×3は2020シーズンの大会が中止あるいは延期になっています。これにより選手はポイントはどうなるのか? 通常、ランキングに反映されるポイントは獲得してから有効期限は1年間。それを過ぎると失効するため、シーズンが始まる4月以降の取り扱いが注目されましたが、FIBA(国際バスケットボール連盟)は先日、ランキングの凍結を発表しました。期間はFIBAの主催大会中止が解除されるまで。テニスのプロツアーやバドミントン、ゴルフなどの他競技はすでに凍結を発表していただけに、3×3の選手たちにとっては、ようやくひと安心と言ったところでしょう。

凍結の詳細→ FIBA freezes FIBA 3×3 rankings-公式サイト(英語/リンクは外部サイト)

Photo by FIBA3x3
世界ランキングを徹底チェック

 一方で、ランキングが凍結されることは後にも先にも、このタイミングしかないでしょう。去年の秋は日本の東京オリンピック(2021年へ延期)出場がかかっていたので、毎週のようにチェックしていましたが(オレだけかw)、それも過ぎ去り、いまはシーズンも始まらず・・・ “おうち時間”が続いてますので、久しぶりに徹底的にチェックしました。今年1月にFIBAがポイントシステムの大改訂を行ったことが影響して、当時からその様子も大きく変わっていますので、3回に分けてランキングの現状を振り返ります。まずvol.1は国別ランキングです。

 ちなみにランキングの仕組みなどは、Tokyo Dimeがコラムを書かれています。下記を是非ともご覧ください。とても分かりやすいです。

3×3バスケットボール 2020年東京オリンピック日本代表への道-TOKYO DIME 公式サイト(リンクは外部サイト)

 まず最新の国別ランキングを見てみましょう。黄色は昨年11月1日に東京オリンピックへの出場権を獲得した国になります。男子日本を除いて、当時(11/1)のランキングで上位4位以内だったことで五輪の切符が与えられました。日本については開催国枠として、男女どちらかランキングの高いほうへ1枠という規定によって、男子が予選免除でオリンピックへ。本大会は男女各8チームの出場枠があるため、女子は残りの4枠入りを目指して予選に挑みます(時期未定)。

 ただ、あれから半年… ポイントシステムの大改訂(え、ここでやるの・・・と思ったけど)により、World Tour MastersやChallengerといったプロサーキットをはじめとした国際大会の成績が重視され、獲得ポイントがより高くなる見直しが行われました。さらに過去の大会で得たポイントも新システムによって再計算されたことで、該当する大会グレードが最上位のブラック(Masters)や、2番目のレッド(Challenger、W杯)、新設されたピンク(U-23 Nation’s League、Women’s Series)で結果を残した選手が多い国の順位が上昇しました。

 主な国としては、男子で言えばアメリカです。プロサーキットに多数の選手が参戦しました。女子は2019年のWomen’s Series(以下WS)でツアー優勝したフランスが1位に浮上。日本もアジア杯3位、WSの転戦、U23W杯で初優勝するなど積み重ねたことでランクアップする恩恵を受けました。

 他方、煽りを受けたのは、男子で言えば中国や日本です。国内でセットされたプロサーキットに紐づく、ブラウンやパープル、ブルーの大会で得られるポイントが相対的に減ったことが直撃。また女子も国際大会の戦績が反映した内容となって、ルーマニア(W杯・7位、WS・8位、U23W杯・10位)やモンゴル(W杯・17位、WS・15位、U23W杯・6位)はTOP4圏外になりました。

各国をけん引するTOP200

 続いて、男子を例にランキングを分解してみます。上記は世界200位までの選手たちを抽出して、国別ランキングと対比させた表になります。ちなみに200位の選手でポイントは86,587。日本ならトップ10入りできます。

 それぞれ見てみると、1位・セルビアは200位以内の選手が総勢35人! 国別総ポイントの96%を稼ぎ出します。Novi Sadを筆頭に、Liman、ZumunUb(Vrbas)、Ralja、Belgradeといった6チームが、大会グレードの高いプロサーキットで多くの選手が戦っていることがその要因です。

 またUtsunomiya Brexに所属したDušan PopovićやMarko Milaković、Tokyo Dineに所属したPetar Perunovicのように、セルビア国外のチームでプロサーキットへ挑む選手たちもおり、まさに3×3の母国としてレベルの高い人材を数多く輩出していることが、「世界1位」の原動力と言っていいでしょう。

 そして2位以下はプロサーキットを主戦場に戦う多くのチームが、国別ポイントの約70%以上を獲得しています。その中身も大別すると2つ。ひとつはチームランキングでTOP15入りする強豪と、それを追う2番手たちがいるパターン。2位・アメリカはNY Harlem(チームランキング世界4位)とPrinceton(同5位)、3位・ロシアはGagarin(同12位)とKorolev(同15位)、4位・スロベニアはPrina(同7位)を先頭にLjubljana(同20位)+Kranj(同22位)、5位・ラトビアはRiga(同2位)+兄弟的なVentspils(同24位)が該当します。6位・オランダもAmsterdam(同9位)に次いで、現在はチームランキングでTOP30 に入っていないもののHagueがいます。

 対照的に一点突破するパターンは、8位・カナダと10位・リトアニアです。前者はかつてSaskatoonという2014年のWorld Tour Finalで準優勝したクラブが活動休止となり、そこからスプリットしたEdmonton(同8位)が主役を張っています。後者は2019シーズンにWorld Tourへ初参戦でながらUtsunomiya Final で6位に食い込んだŠakiai(同6位)です。もともとリトアニアはバスケットボールの強豪国であり、彼らは5on5のプロ選手として同国2部リーグに所属するクラブのチームメイト同士。クラブの責任者が同国の3×3の強化に携わっていることも、躍進の背景にあります。

 ではランキングで赤字にした7位・中国、9位・モンゴル、12位・日本はどうでしょうか。詳しくはvol.2で振り返りますが、ここで触れておくことは、やはりモンゴルがアジアでは抜けた存在であること。順位こそ中国の次になりますが、200位以内の選手が総ポイントを構成する割合は欧米に比べて低いものの、3か国の中では最も多い10人で61%に及びます。これは2017年からWorld Tourに本格参戦したUlaanbaatarが、昨年10月のJeju Challengerでアジア勢として初のプロサーキット制覇。23歳以下の選手も同チームでプレーするなど、強化を着実に進めてたことが実ったことを伺わせます。

 次回vol.2はこの3か国のランキングを比較して、それぞれの特徴を考察します。

記載のポイントや順位は2020年5月3日時点

 

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