荒波航海中のビー・コルセアーズ

 開幕4試合を2勝2敗と五分の成績でスタートした横浜ビー・コルセアーズ。外国籍選手の合流がギリギリの状況の中、まずまずの結果を残した。対戦相手も富山や信州といった昨シーズンはプレーオフに進出した力のあるチームであったたけに、今季の復活を期待させる試合であった。

 しかしアウェイ青森戦の初戦を勝ったあとから、横浜の航海は突如として悪天候に見舞われる。2戦目の青森戦で終盤に逆転を許して敗れると、そこからホームで岩手と秋田に黒星を重ねて、5連敗を喫した。シーズンインからようやく1ヶ月がすぎたところであり、まだ先は長いが、序盤のつまずきはなるべく避けたいところである。今、横浜で何が起こっているのか。数字や監督、選手のコメントから紐解きたいと思う。

(1) 第4Qの劣勢

 下図に横浜の勝った試合と負けた試合の各クウォーター別の平均得点と平均失点を比較した。

 11月2日までの試合を終えての戦績は3勝7敗。勝った試合では平均得点85.7点、平均失点72.7点を記録している。得点の経過を見ると、第1Qをほぼ同点で終えると、外国籍選手が同時に3人立てる第2Qで引き離している。第3Qも攻撃の手を緩めることなく相手を上回る得点を挙げるが、後半は失点が増えている。特に第4Qでは勝った試合でもわずかではあるが相手に多く得点を許している。一方で負けた試合では、平均得点70.9点、平均失点84点と、失点が大幅に増えている。特に第1Qの入りが悪く、出だしから大きなビハインドを背負っていることが分かる。第2Q、第3Qは互角の展開に持ち込んでいるものの、第4Qには失速した結果となっている。2日の秋田戦終了後の記者会見で蒲谷は「92失点は負けゲーム。外国籍選手が3人の状況で、4Qのスタミナ切れ、ファウルトラブルで不利になっている。ここをしのがないといけない」。と苦しい状況を語っている。

(2) 強みであり弱みでもある外国籍選手

 横浜の3人の外国籍選手は、ナイルズ(194cm)、ラーカイ(203cm)、マーシャル(211cm)である。特にラーカイとマーシャルはインサイドで大きな存在感を放っており、攻守に代えのきかない選手である。しかしインサイドで仕事をする以上、どうしもてファウルはかさんでしまう。また出場時間も平均で30分近くにおよんでおり、33歳とベテランの域に入るラーカイや、膝に慢性的な怪我を抱えているマーシャルにとってはそれも負担となって、終盤のスタミナ切れにつながっている。勝久HCもこの2人について、「オフェンスでもディフェンスでも仕事がすごく多い。本当は休ませてあげたいが、今は頑張ってもらうしかない」。とチームを率いる立場として、選手のやりくりに悩んでいた。

 またラーカイとマーシャルはポストアップから2人でサイズを活かしたハイロープレーや、シューター陣への効果的なキックアウトパスで攻撃のチャンスを作り出すが、一方で守備の場面では、弱点も見せる。機動力のあるセンターやフォワードとのマッチアップでは、スピートで振り切られることが多い。トップやウイングに釣り出されて、そこからドライブを許したり、空いたゴール下のスペースを突かれたりしてしまう。2日の試合で勝った秋田・長谷川HCは、「インサイドで(点を)入れられたぶんは走る。相手は体力もないし、ハリーバックも遅い。PGのピック&ロールでスペースができて、楽にシュートをする。ヘルプが来たら楽にパスができる。良い展開になった」。と勝因を述べていた。

 連敗ストップを目指して臨んだ今週のアウェイ高松戦。1戦目に60-76で敗れると、続く2戦目も72-88と2試合連続で15点差以上をつけられて、7連敗となってしまった。10月19日の青森戦から始まった負の連鎖。岩手戦の連敗と含めて、「ファウルトラブルなどがあったが、内容的には悪くなく、チームが悪くなったとは見ていない」、秋田戦については、「新しい課題ではなく、今まで言ってきたこと(トランジッションディフェンスやピック&ロールの守り方、いろいろなディフェンスシステムの考え方)ができたり、できなかったりであった」。と勝久HCは各々の試合を振り返っていた。そして今後に向けて「相手より40分通して、エナジーを持ってハードにプレーする。いろいろと話してきたことを習慣化できるのか。それともできたりできなかったりのチームになるのかで変わってくる。1人1人がやってやるという気持ちで決心しないと強くなれない」。と力強く話してくれたが、その思いは勝利に繋がらなかった。それでも試合はどんどんやってくるもので、11月15日、16日にはスカイアリーナ座間でライジング福岡との2連戦である。外国籍選手があと1人いればまた状況も変わってくると想像できそうであるが、それが見えない状況である。ここは現有戦力で1ヶ月ぶりの勝利をもぎ取るべく、監督や選手のさらなる奮起を期待したい。この苦しい状況を打破すれば、チームとしての大きな成長や、同じ状況を分かち合うブースターとの絆もより一層深まっていきそうだ。