12連敗ストップ。2015年浮上なるかビー・コルセアーズ

チーム創設4年目で最も苦しい時期だったのではないだろうか。TKbjリーグ・東地区の横浜ビー・コルセアーズが、12月28日にトッケイセキュリティ平塚総合体育館で行われた、西地区の大分ヒートデビルズとの試合を66-61で制して、ようやく連敗を12で止めた。

昨シーズンも序盤戦は苦戦を強いられたが、今シーズンはそれ以上に苦しい。10月18日のアウェイ青森戦を最後に7連敗。11月15日にアウェイ福岡戦で連敗を止めるも、その後は泥沼の12連敗を喫した。年内最終戦となるこの日の試合は、選手にとっても、ブースターにとっても待望の勝利となった。なにせホームで最後に勝った試合は、10月12日に95-71で信州を破った試合までさかのぼる。試合後にヘッドコーチや選手が見せた安堵の表情や、まるでプレーオフ進出を勝ち取ったかのように喜ぶブースターの姿が、大変印象的であった。

現在、年内の試合を終えて5勝21敗。当初、ここまでの結果になるとは誰も予想できなかっただろう。外国籍選手の合流がギリギリの状況で開幕からの4戦は2勝2敗の五分と、まずまずの成績でスタート。しかし10月下旬から大黒柱のW・マーシャルが怪我によりパフォーマンスを落として、11月に入って故障者リストに入ると、追い打ちをかけるように、同じくセンターのD・ラーカイも怪我でロースターから外れる事態へ。外国籍選手がW・ナイルズだけとなる事態になり、日本人選手の頑張りも実らずに負け続けた。12月に入り、4人目の外国籍選手となるK・マーシャルを補強するも、なかなか結果はついて来なかった。

11月、12月と負けた試合では、平均失点は90点を越えた。特に12月においては、前半だけで平均で11点差をつけられるなど、一方的な展開となった。平均得点においても、11月の70.44点から、12月の66.57点へダウン。主力2人の欠場で、W・ナイルズや日本人選手にかかる負担は相当大きいものであった。チームは攻守にバランスを完全に失った時期であったことがうかがえる。

ただ始まりがあれば、必ず終わりが来るものである。12月20日、21日の新潟戦でようやくD・ラーカイが復帰。外国籍選手を3人そろえた体制で大分との2連戦に臨んだ。主将の山田謙治が怪我で不在という状況ながら、1戦目はリードを許しながらも、第4Qに再三にわたって逆転まであと一歩の展開まで持ち込んだ。最後は大分・澤岻直人に3Pを沈められて逃げ切られたが、連敗ストップの兆しが見えた試合であった。

そして続く2戦目では第1Qから蒲谷正之の3本の3Pでスタートダッシュに成功する。途中ターンオーバーやリバウンドから相手に走られてリズムを崩すが、勝負のかかった第4Qでは、♯15ナイルズのゴール下での合わせや、♯3蒲谷の3P、♯33ラーカイがインサイドで踏ん張りをみせる。守備でも♯23K・マーシャルがチャージングを奪うなど、集中力を切らさないプレーで勝利をたぐりよせた。

試合後、勝久マイケルHCは「今日は出だしから選手が気持ちの入ったプレーをしてくれた。そして気持ちの入りすぎたところから冷静さを失った展開になり、今度はそれを取り戻してファイトし続けてくれた。泥臭い試合を勝つことができて嬉しく思います」と振り返った。またこの日15得点をあげた蒲谷も「メンバーがフルロースターになれず、連敗続きの状況だったので、チームとしては本当に苦しい状況だった。その中でどの選手も腐らずに日々、しっかりとトレーニングをして勝つために努力をしてきたので、それが報われてよかったと思います」とチームを牽引する立場から、連敗を止めたこれまでを話してくれた。

ただ厳しい見方をすれば、この勝利は連敗を止めたに過ぎない。大きい1勝に違いないが、この先は見すえればあくまでも1勝である。今後に向けて、マイケルHCは「やっとここからという気持ちです。運も必要かもしれないが、選手が健康な状態で、フルロースターで、ここからプレーオフに向けてつらい登り坂の道になりますけど、絶対にいけるように。頑張っていきたい」と気持ちを新たにしていた。また蒲谷も「怪我人も復帰してきたときに負けていたときの苦しい努力が報われて、もっといいチームになっていくのではないかと思います。期待しています。」とチームの反攻を誓った。

最後に、大分との2連戦でビー・コルセアーズは上位チームを追いかけるうえで、新たな可能性をひとつ手にすることができた。それは「ナイルズの1番ポジションの起用」である。これまでは2番、3番ポジションでスコアラーとしての役割をはたしてきたが、今回は山田のアクシデントもあり、ボールキャリーや攻撃の起点としてプレーする時間帯が多かった。勝った2戦目の試合では、ナイルズにディフェンスが寄ることで、蒲谷がフリーになり、外角を決めるシーンや、ナイルズのペネトレイトから、外角で構えた味方へキックアウトパスをするシーンがあり、攻撃を動かしていた。

この起用の手応えについて、マイケルHCは「(1番として)いけると思います。2年前のD・バーンズ選手のような冷静で急がずに自分のテンポでプレーするところがいいと思います。ただそれでたまにボールを取られるシーンもありますけどね。PGというのは度胸が必要ですし、『俺にボールをよこせ』という気持ちも必要です。彼はそれを持っている。それが分かったことがよかったです。ケンジ(山田)という素晴らしいチームをまとめるガードがいますが、彼のアクシデントやファウルトラブルなど何かあった場合に、オプションとしてありだと思います」と今後も状況によっては起用があることを示唆した。

また蒲谷も「彼のパスでシュートを打てたシーンもありました。2年前にいたD・バーンズ選手のときも2人でこういう形で点数を取っていました。そういう意味ではプレーメーカーでもありフィニッシャーでもあることは良いことですね。この2日間はぶっつけ本番で完成度も低かったですが、今後、このようなときのために、練習をしていければ、もっといいパフォーマンスが出せるのではないかと思います」と話してくれた。

チームの状況や本人の適正などいろいろあるが、攻め手を増やしておくことは長丁場のリーグ戦を戦ううえで必要不可欠である。優勝した2012-2013シーズンの立役者であるD・バーンズの姿に、ナイルズが重なっていくことはまだまだ先になると思うが、これが1つの形のとして確立できたとき、ビー・コルセアーズの2年ぶりのプレーオフ進出が見えてきてもよさそうである。