ブロンコスの指揮官が感じる手応え

今シーズン、開幕から23連敗を喫した埼玉ブロンコスにようやく明るい兆しが見えてきた。1月25日のアウェイ富山戦を97-90で勝ちきると、2月6日のアウェイ横浜戦では強力インサイド陣を92-79で撃破。今季初の連勝を飾った。

開幕当初から選手に厳しい発言を繰り返していた下地HCであったが、これまでとは一転して、チームの成長が見られたこの日の試合を次のように振り返った。

「勝ちは選手(が頑張った結果)なので、選手がやるべきことをやってくれました。ここ最近ずっと練習も良いし、我慢強く自分たちのプレーをやろうということを本人たちが認識を出来ている。そういった意味で(チームが)ひとつになっていると思います。自分がやっているフォーメーションはbjリーグのどのヘッドコーチも知っているのですが、機能しており、(相手が)知っていても止めきれなくなっていると思います。これは自信をもってやっていこうと思います。ただ、まだまだ(チームは)下手ですよ。でもちょっとずつ上手くなってきて、最近は怒る回数も減りました。今日は本当に選手のおかげです。よくやってくれました」

今季、全試合でスタメンだった得点源の♯20ジョンソンを外して試合に入ったが、第1Qから精度の高い外角で主導権を握った。第2Qで追い上げられるも、第3Qでは、機動力のある♯32ウィリアムズがインサイドでサイズのある横浜のインサイド陣に対抗。第4Qで横浜♯15ナイルズのアタックに対して、ゴール下を固めて、シュートが落ちたところをDFリバウンドから♯68永田の速攻やウィリアムズのポストプレーが決まり、残り7分から2分半で11-0の猛攻を仕掛けて勝負を決めた。

アウェイ富山戦では一時リードを許しながらも逆転し、この試合は追い上げられながらも、最後は横浜を突き放すことができた。以前のような大事な場面でのミスからズルズルと後退する姿はなくなっている。苦しい時間帯を乗り切る“我慢”が少しずつ出来はじめた要因として、次のように下地HCは述べている。

「9月からダメなものはダメと大声で言い続けているからです。勝っているから良いという訳ではなく、若いチームは気づきが遅いし、言い続けないとダメだと思います。球団さんもスタッフも選手も、何度も同じことで怒られ、ダメなものはダメと言い続けている結果、切れなくなってきているということは事実としてあると思います」

言う側も言われる側も辛抱強くやった結果、少しずつ成果が出始めてきた。3連勝を狙った翌日7日の試合は、68-75で敗れたが、最大26点差を第3Qのオールコートプレスで2点差まで猛追。目下、最下位ではあるが、それを感じさせないバスケットを見せた。そして充実した表情で2戦目の記者会見に臨んだ下地HC。敗因や課題にも忘れずに言及しながらも、この連戦の確かな手応えを力強く語った。

「悔しいっすね。今日は本当に。最下位のチームの雰囲気ではないですね。本当に力がついていると思います。ただ勝負所でのイージーショット。。。本人たちも気づいているのであまり言わなかったですけど、勝負所で経験のないチームは一歩引いてしまうのですよね。やっぱりこれを楽しむヤツが出てこないとダメですね。次へのステップにつながっている道なのかなと思います。今は正直、そういう選手はいません。しいて言えば、今はコウジ(永田晃司)です。外国籍選手も切れずにやってくれて、26点差をここまでカムバックできるようになってきていることは、間違いなく力がついてきたことです。開幕当初だったら、40点差で負けています。ちょっとずつ成長が見えてきているとこは、ブースターさんも気づいていると思います。私の中で、今日の負けは勝ちに等しいのではないかと思うぐらい、自信を持っていいと思います。でも今日の横浜さんのディフェンスはすごいハードでした。良い経験になったと思います。次ですね、次の東京戦ですね。富山、横浜、東京、群馬というアウェイは正直キツイですね。でもこういうのに揉まれてホームに帰って、良いパフォーマンスをブースターさんに見せられるように、修行しに行ってきたいと思います。選手はよく頑張りました。負けは僕の責任です」

全敗もありえるのではないか思ったボロボロのチームは、着実に力をつけはじめた。指揮官の手応えとともに、選手も自信を持ってプレーしている印象を受けた。またベンチとの一体感も非常に良く、チーム状態が上向いている雰囲気が今の埼玉からは感じられる。

これで埼玉は3勝29敗として、11位東京(4勝28敗)とのゲーム差を1.0としている。次節の直接対決の結果次第では最下位脱出も見えてきた。例年、埼玉はシーズン後半戦からチーム力があがり順位を上げてくること多いだけに、今季もそれがやってきそうな予感がする。スキルも経験もないと言われ続けてきたチームは、多くの修行を積んで、遅ればせながらプレーオフ戦線をかき回す勢力になりつつある。今週末の試合に注目したい。