数字で振り返る前半戦PREMIER.EXE-強さの要因はどこだ-

6月に開幕したシーズンも佳境に入ってきた。現在、全8戦のうち、5戦を終えて、首位に立つGREEDYDOG.EXE。15戦負けなしで5大会連続優勝を収めている。3×3日本人トップランカーの落合を筆頭に、眞庭(来季bjライジング福岡所属)、永田(来季bj岩手ビックブルズ所属)、小寺(来季bj石川武士団所属/ミッドシーズンドラフトで放出)、菅原(来季bj群馬クレインサンダース所属)の5人制プロ選手に、池田(平塚Connections)を加えたチーム編成で、無類の強さを誇る。

では、前半戦(名古屋、北海道、長崎、宇都宮)の各チームはどのような状態であったのか。数字で一度、振り返るべく、スタッツを集計、分解した。まずはチーム別のスタッツと、1試合平均得点の構成比を見てみよう。

首位のGREEDYDOG.EXEは平均得点が20.1得点。リバウンドでも平均13.3本を記録して、いずれもリーグトップだ。また1試合あたりのフリースロー(以下FT)試投数が平均4.3本と全チームの中で一番多く、それによる得点も高い。そのため、平均得点の構成比もバランスが良い状況だ。内外角どこからでも攻撃できることを物語っている。

次に、新規参入のTRYHOOP OKAYAMA.EXEは、平均得点17.0点をあげ、2Pシュートラインより内側での得点が多い。これは、1試合で10点近く得点をあげるWashingtonの存在が大きい。また2Pシュートの構成比は高くないが、インサイドアウトから大森や伊藤(ミッドシーズンドラフトで放出)が外角を決める場面も随所にみられた。残り3大会で、首位独走に待ったをかけることができるのか。チーム一丸となった戦いぶりに注目だ。

同じく新規参戦をしたBREX.EXEは、平均得点18.1点を記録した。内訳は、他チームと大きくことなり、昨季のZETHREE.EXEのように、2Pシュートの比率がきわめて高い。コートを広く使ったパスの展開や、ペネトレイトから逆サイドのコーナーやウイングにいる選手へパスをさばき、精度の高いシュートを決めてくる。平均リバウンドが10.9本と物足りないが、ミッドシーズンドラフトで昨季、bjリーグでプレーしたChris Brown(197cm・100kg)を獲得した。補強がどう影響するのか、見守りたい。

一方、今シーズンは苦戦を強いられているDIME.EXE。大型補強をするも、いまだラウンド優勝に届いていない。ここまで平均得点18.1点、平均リバウンド12.5本と、スタッツは悪くない。ただ連勝を重ねた昨季の後半戦は、平均リバウンドで15.1本を記録。FTの1試合試投数も5.7本(9試合51本)であった(今季は3.4本。8試合27本)。ゴール下での迫力、粘りが欠けていることが推測される。1位または2位のチームと対戦が多く、タフな試合に直面することが多いが、残り3戦は王者の意地を見せて欲しい。

続いては総合5位以下のチームの状況だ。まずPREMIER.EXE屈指のセンター2枚をそろえるCHIBA JETS.EXE。村越と黒田はいずれも190cmを超える身長に、体重は100kgオーバーの体躯を誇る。1試合平均のリバウンド数は13.0本と、GREEDYDOG.EXEに次ぐ多さで、インサイドに強さを見せる。結果こそ今一つだが、順位決定戦での勝率は高く、宇都宮大会では首位と接戦を演じているだけに、後半戦も目が離せない。

そして昨季の最下位から浮上を目指すSUNS.EXE。5人制プロ選手の3人を補強して、名古屋大会は準決勝進出、長崎大会では決勝進出と力をつけてきた。1試合平均得点も16.5点を記録している。ただ198cmのセンター飯島を欠いていることもあり、リバウンドは9.5本(昨季は1試合平均13本)とゴール下の攻防で後手に回ってしまう。守備の改善が図れれば、より攻撃力が活きてきそうだ。

昨季準優勝のZETHREE.EXEは、DIME.EXE同様にここまで苦しい状況が続いている。川上と堀田の長距離砲コンビは健在であるが、今季の2Pシュート成功率は23%と高くない状況だ(昨季の成功率34%)。ただ夏の加入より、ゴールへの突破力を手に入れ、村田の登場により、球際での粘り強さも出てきているだけに、シューター陣の奮起が待たれるところだ。

今季から参戦のYOKOHAMA CITY.EXE。ストリートボールチーム「SUNDAY CREW」を率いる安藤が選手兼オーナーを務める。昨季、CHIBA JETS.EXEで活躍した森山や、5人制リーグで屈指のセンターである佐藤などをそろえるも、前半戦は初戦突破を果たせなかった。1試合平均得点もリーグワーストの11.8点と攻撃力不足が否めない。特にFT試投数が1.3本と低い状況だ。しかしミッドシーズンドラフトで戦力の入れ替えを敢行。神戸大会では3位に食い込んでいる。終盤戦に向けて、ドライブやポストプレーでゴールへのアタック数が増えることで、より外角のシュートが活き、ファウルを得ることでのFT獲得や攻撃の主導権を握れるのではないだろうか。

最後に1試合の平均得点とFT試投数の相関を見てみよう。FTの平均試投数が多いチームほど、平均得点も高いということがうかがえる。FTが多いということは、それだけドライブやゴール下でのアタックが多く、ファウルをもらっているということであり、リングへ近いところでプレーすることで得点の確率も上がるわけだ。また3×3は5人制と違い、2Pシュートラインより内側からのシュートも、FTで得られる得点も1点と同じある。誰にも邪魔されず(ブーイングは除くが)シュートできるFTの価値は非常に大きい。しかもGREEDYDOG.EXEは成功率も60%を越えている。この観点からも、強さを証明できるのではないだろうか。

さて、今週末はいよいよRound.6 TSUKUBAが開催される。夏の熱戦もあと僅かになってきた。ラストスパートに向けて、各チームの戦いぶりから目が離せない。

※上記、スタッツ表およびグラフは筆者にて独自に集計、分解したものとなります。