苦境の現在地。ビーコル主将の危機感はチームに浸透するのか

 レギュラーシーズンもあと16試合。最終目的地・有明を目指す戦いは終盤戦に差し掛かりつつある。各チーム、ラストシーズンに掛ける思いは強く、ブースターもそれを大きく後押しをしている。

 2012-2013シーズンにリーグ優勝を果たした横浜ビー・コルセアーズもそのひとつだ。現在、3シーズンぶりのプレーオフ進出、そしてその先を目指している。今シーズンは、前半戦26試合(レギュラーシーズンは全52試合)を勝率5割で乗り切ると、年明け1月を3勝1敗と勝ち越して、16勝14敗の成績で6位につけた。

 しかし2月に入ると状況は一転した。アウェイで10位・信州との連敗を皮切りに、ホームで4位・新潟に完敗。再び敵地に乗り込み岩手に挑んだが、白星をあげることができず、6戦全敗の状況が続いている。1月末までは平均得点78.7点、平均失点78.6点だったことと対照的に、この期間の平均得点は70.5点(-8.2点)、平均失点90.8点(+12.2点)と大きく崩れた。

 主将の山田はいまの状況について、14日の新潟戦後(●83-104)に次のように語っている。

「どうしても外国人3人に頼りがちなところがあります。今日は(得点が)取れていますけど、ここにどうしてもムラがある。ここがコンスタントにやってくれるとチームとしても本当に助かると思います。また蒲谷選手のシュートパーセンテージがあがってこないので、ここの点数が無いのも、正直(キツイです)。無くもて83点取れているということは、ここがコンスタントに10点以上取れていると、もっと展開が楽になってくると思います。だけど、どうしてもマークが厳しい中、その分アシストに回っているので、僕を含めて周りの選手がしっかりと決めていかないといけないと思っています。そこがコンスタントに残りの18試合でできてくれば、プレーオフがしっかりと見えてくると思いますし、連勝をしていかないとプレーオフはないと思います。そのあたりは練習から危機感を持ってやらないといけないなと思っています」

 この言葉はスタッツでも見て取ることができる。下記は現在プレーする3人の外国籍選手(途中退団のウィリスは除く)と蒲谷の1月末までのスタッツと2月のスタッツまとめた表である。

 これを見ると、まずジョンソンは勝敗に関係なく、毎試合一定の結果を残している。一方でヘンリケスとホールはプレーの良し悪しが、勝敗につながっている。ヘンリケスは1月末までの勝ち試合で平均得点15.4点、平均リバウンド13.3本を記録しているが、2月の負け試合の場合では平均得点10.7点(-4.7点)、平均リバウンド9.8(-3.5本)本と減少傾向だ。またホールについても同様で、1月末までの勝ち試合では平均得点17.5点、平均リバウンド10.6本を記録しているが、2月の負け試合の場合では平均得点14.5点(-3点)、平均リバウンド7.2(-5.6本)本と下降している。特に2人合計で平均得点は-7.7点と落ち込んでおり、チーム平均得点でー8.2点の減少幅と比較すると、彼らのパフォーマンスが勝敗の行方を左右していることは間違いない。

 また蒲谷についても2月のフィールドゴール(以下FG:3Pシュート+2Pシュート)成功率は厳しかった。1月末まではFG率42.8%(成功107本/試投250本)に対して、2月は22.5%(成功9本/試投40本)と大きくダウンしている。7日の信州戦ではFG成功率0%、フリースロー成功2本という試合もあった。ただ悲観的になる必要もなく、回復の兆しもある。岩手戦では2戦ともFG成功率40%と上向いており、横浜が今シーズン勝った試合でFG成功率47.5%を記録していることを考えると、あともう少し。勝利にはこの男のシュートが必要不可欠だ。

 さて、チームに残された時間は決して多くはない。これらの課題を残された時間でどこまで潰していけるのか。過去2シーズン、球団の体制やチーム状況が不安定だったこともあり、終盤まで粘るも手に届かなかったプレーオフ。苦い経験があるからこそ、ラストにかける思いは非常に強いはずだ。今後に向けて、チームが浮上するためにも、山田は敢えて厳しい表現で次のようにも話してくれた。

「課題がクリアになっている方向に(チームは)向いているとは思いますが、まだそのベクトルが完璧に向いていないと思います。同じ方向に向いていれば、自然とコンスタントに同じゲーム(勝てるゲーム)ができると思うのですが、まだムラがあるということは、そこにまで達していない。後半戦が始まってもう何試合かやっていますけど、この時期にできていないとなると、正直厳しい部分ではあると思います。今日はしょうがなかった、で終わっていれば、結局、去年や一昨年と一緒でズルズルといってプレーオフに行けないというパターンになりつつあるので、そこはヘッドコーチ含め、選手含め、みんなが同じ方向に向いていかないと勝つことが厳しいと思っています」

 主将が抱くこの危機感。毎年、メンバーの顔ぶれが大きく変わるチームがある中、横浜は日本人選手の多くが残留。同じ轍を踏まないためにも、過去を反面教師として、この思いが早くチームのすみずみまで浸透して欲しい。

 さて来る27日、28日は今シーズン初めての横浜国際プールでの試合となる。ここは既報の通り、B.LEAGUEの参入初年度で使用されるホームアリーナだ。球団も4,000人の集客を目指して、PR活動に励んでいる。最終目的地・有明に向けて、いまが本当に踏ん張りどころだ。多くの後押しを借りて、この2連戦を反転攻勢のきっかけにしていきたい。